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欅坂46 / サイレントマジョリティー

 

欅坂46 『サイレントマジョリティー』 - YouTube

個人的な思い入れはひとまず置いておいて客観的に判断するならば、2016年アイドルソング第一位はこの曲だと思ってます。 

楽曲自体のクオリティーはもちろんのこと、登場時のインパクト、衣装やダンスといった視覚的な要素も全部含めて、完璧だった、と思うのです。

 

「大人たちに支配されるな」というメッセージソング。

アイドルソングをはじめとするポピュラー楽曲には、時代を映す鏡としての役割もあるのだと思っています。何年か経って曲を聴いたときに、ああ、あの頃はこうだった、と思い出せるような。当時を知らない人には、へえ、この時代はこういうものが流行っていたんだ、と想像できるような。

2016年は、18歳選挙権に代表されるように、若者が自らの意思を持つ、自らの未来を考える、ということについてクローズアップされた年であったと思います。偶然か、意図的かはわかりませんが、この曲が投げかけるメッセージはそうした世相にマッチしていました。

 

アイドル史の観点から見ても面白いものでした。

楽曲の持つ反逆的なメッセージ性に加えて、それを歌う彼女たちの「笑わない」「クール」というイメージ。それは既存のアイドルのイメージの対極にあるものとしてアピールされ、アイドル界のトレンドが移り変わることを予感させるものでした。

逆に言えば、「アイドル=いつでも笑顔で愛想よく」という"常識"が私たちのなかに共通理解としてあったからこそ、この笑わないグループが新鮮味をもって受け止められたのでしょう。(しかし、その共通理解を私たちに刷り込んだのは、まぎれもなく48グループの存在によって握手会文化を広く世間に認知させた秋元先生ではないでしょうか。自らが作り上げたものを自ら利用し次から次へと新しいものを作り出していくさまが、私は楽しみであると同時に怖い)

 

・・・と、このように書くと、私がこの楽曲をいかにも"非アイドル的なトガッた曲"であると評したいように思われてしまいそうですが、実際は真逆です。

むしろ最もアイドルらしい、もっと言えば、秋元康プロデュースアイドルらしい楽曲だと思っています。

 

sbclbs.hatenablog.com

以前の記事でも少し触れましたが、アイドルというものに皮肉を込めるのが秋元先生のやり口だと思っています。

この曲も表面だけを見れば、迷える若者の背中を押すような、力強いメッセージソングです。おそらく、"アイドル"ではなく"アーティスト"と呼ばれる人が歌っていたとしたら、正真正銘のメッセージソングであるとして完結していたでしょう。

しかし、「似たような服を着て」「群れの中に紛れるように」と群衆を批判するのは、全員お揃いの制服のような衣装を着せられた女の子の集団。そして、「大人たちに支配されるな」とメッセージを送るのは、大人たちの用意した仕事をこなし、大人たちに管理される立場であるアイドル・・・この曲を"アイドル"にあてがうことによって、そこにひとつの矛盾が生じます。

私は、この矛盾こそが、アイドル楽曲の面白さだと思っています。

アイドルが、自分で作った曲ではなく、他人が用意した曲を歌う存在であるからこそ、生まれる矛盾です。アイドルだからこそできる表現です。

悪趣味かもしれませんが、私はその矛盾が大好きなのです。

アイドルという世界が生み出すアンバランスさに、私は強く興味を惹かれてしまうのです。

 

サイレントマジョリティー(TYPE-C)(DVD付)

東京事変 / 娯楽

娯楽(バラエティ)

 

最近、久しぶりに東京事変の『娯楽』を聴いています。

東京事変が始動したばかりのときは、椎名林檎はどこまでも椎名林檎だし、椎名林檎がわざわざ「東京事変」という名前でやる意味ってあるのかな、なんて思ってしまっていました。しかし、このアルバムを聴いてからは、東京事変のことを「椎名林檎の延長」ではなく「東京事変というひとつのバンド」ととらえることができました。

このアルバムは良い意味で椎名林檎の毒気が薄まっていて、ポップで聴きやすいです。椎名林檎作曲がなく、彼女がボーカリストというポジションにより専念しているせいかもしれません。

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Suchmos / TOUR THE KIDS @ 浜松窓枠

THE KIDS(通常盤)

3月にSuchmosのライブに行ってきました。

 

メンバーが登場した瞬間、女子たちの悲鳴にも似た黄色い歓声が。特に歓声が大きかったのは、もちろんボーカルのヨンス。

ヨンスは登場するなりフロアに手を伸ばし、最前列のお客さんたちの手に触れていったのですが、私含め4~5列目のお客さんたちもつられて手を伸ばしてしまっていました。さすがにここまで届くわけないのに、ヨンスの手足が長いので、頑張れば届くんじゃないか?と錯覚してしまったんですよね・・・。

間近で見るヨンスは、細いけどいわゆる草食男子的な細さではなくて、がっしりした骨格を感じる西洋人的な細さでした。

 

「MINT」ではヨンスがマイクを観客に向け、みんなで大合唱という一幕が。「演者の歌声を聴きたいのに、合唱なんて!」と顔をしかめる方もいるかもしれませんが、以前より、この曲の正体はストレートでアツいメッセージソングだと解釈していた私としては*1、この展開は「やっぱり!」という感じです。いつか彼らが目標とするハマスタで、「MINT」の大合唱が起きる日が来るかもしれません。

 

驚いたのは、フルアルバムのリリースツアー、しかもまだ前半戦だというのに、早くも新曲が披露されたということです。

「かっこいい曲ができたんだけど、知ってる?知らないよね」

と、ヨンスがいたずらっぽく言ってから披露されたその曲は、曲調は既存の曲に例えるならば「DUMBO」系の、カート・コバーン大好きっ子ヨンスの趣味がうかがえるような*2Suchmosのロックな部分を強調したタイプの曲でした。でもキーボードは70年代ニューウェーブっぽい感じだったり、ドラムはジャジーな感じだったりと、Suchmosらしいジャンルレスな曲です。

で、この曲のヨンスの振り付け(?)がヤバいのです。歌詞に「one shot」というフレーズが繰り返し出てきたのですが、そのフレーズに合わせてヨンスが手でピストルのポーズを取って、自分の頭や観客に向けて何度も"バキューン!"するのです。その"バキューン!"は一歩間違うとキザな感じになってしまいそうですが、ヨンスがやるとハマるし、やっぱりかっこいい。Suchmosの音楽性だけではなく、ボーカリスト・ヨンスの、世の女性の心をとらえるロック・アイコンとしての魅力、もっと率直に言ってしまうと、彼のアイドル性を、惜しげもなくわかりやすく提示してしまう、ヤバい曲になりそうな気がします。
 
アンコールのMCでは、ヨンスが「浜松、絶対戻ってくるから。・・・いま思いついたんだけど、47都道府県の一番大きい会場でやるっていうの良くない?」と発言。「やりたいことは発言して叶えていかないと」と語っていました。こうした怖いもの知らずな堂々とした語り口調も含めて、華のあるボーカリストだな、と思いました。
 
おそらく今最も勢いのあるバンドをこのタイミングで観ることができて、本当に良かったです。今後ますますチケットの取りづらいバンドになっていきそうな予感がしますが、またライブに行けたらいいなぁと思っています。