aircheck

好きな曲 / 気になった曲 / 観たライブ などについて書いています

KEYTALK / PARADISE

PARADISE<通常盤>

KEYTALKのライブに行ってきました。3月にリリースされたアルバム『PARADISE』を引っ提げてのツアーです。

このアルバムのリリースに関しては複数商法*1、接触商法、代々木公園でのフリーライブなどプロモーション活動も活発で、「とにかく売りたい!」という気持ちがビシビシ伝わってくるものでした。

そんな必死さに少々の不安をおぼえつつも、実際に聴いてみると、運営側がこのアルバムをどうにかして売りたい、多くの人に聴かせたい、と思うのも納得の出来でした。

 

youtu.be

 

私はこのアルバム、前作『HOT!』よりも断然好きです。

これはあくまで個人的な好みの問題であって、『HOT!』が悪いアルバムだというわけではありません*2。ただ、私がKEYTALKに求めているものはこれではないな、というのが率直な感想でした。

というのも、『HOT!』は全体としてフェス映え・大箱映えというコンセプトのもとに作られたような、一種の縛りのあるアルバムだと感じたからです。『MONSTER DANCE』がフェスでの定番曲に成長し、武道館という大きなキャパでのライブを控えていた時期だったからこそ、そのように感じられたのかもしれませんが、盛り上がりやすい曲調と、わかりやすい歌詞を重視して作られたアルバムだと思いました。聴き手がイメージする"KEYTALKらしさ"を裏切らないようにと、制作者の方から敢えて歩み寄っているように思えて、物足りなさを感じてしまったのです。

また、アルバムを通して義勝さん・巨匠の2人がメインで作詞作曲しており、武正さん・八木さんの曲がそれぞれ1曲ずつしかない、というのも物足りなさを感じるポイントでした。これも"KEYTALKらしさ"を提示するために敢えてやったことなのかもしれませんが、せっかくメンバー4人全員が曲作りできるバンドだというのに、もったいない・・・というのが正直なところでした。

 

『PARADISE』は前作で私が感じたそれらの物足りなさを払拭するアルバムでした。

全17曲というボリューム、しかもメンバー4人全員の曲がバランス良く配分されているので*3、バラエティに富んだカラフルな作品になっています。

それも、メンバーそれぞれ影響を受けた音楽や好きな音楽がバラバラであるので、それらを持ち寄った結果、ロックあり、ポップあり、ラップあり、EDMあり、、、と様々なジャンルの要素がちりばめられた1枚になっています。私がKEYTALKを初めて聴いたときに感じた「ごちゃ混ぜだけど、なんだか面白いことをやっているバンド」という気持ちを思い出させてくれました。

 

ダウンロードディスコ

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森羅万象

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『PARADISE』新録曲のなかでは、武正さんの書いた曲が好きです。

彼の好きなブラックミュージックの要素を4つ打ちロックに上手く落とし込んでいるところも面白いですし、一度始まってしまったらもう後戻りができないような、次々と展開していく曲構成が面白いです。ボーカル陣の書く曲がわりとJ-POPの基本構成に則ったものが多いだけに、彼の曲の持つトリッキーさが、アルバムを通して聴くと良いアクセントになっています。しかも、それらの展開が全て3分未満という短い尺に詰め込まれているという凄さ。

 

www.cinra.net

 ついでになりますが、武正さんのこちらのインタビューが面白かったので紹介しておきます。私がKEYTALKに感じていた「ごちゃ混ぜの面白さ」、それはすごく日本人的な感性だと思うのだけれど、その正体が書いてあるようで、読んでいて興味深かったインタビューです。KEYTALKにはあまり興味ないんだけど・・・という人にも読んでみてほしいです。

*1:初回限定版AとBとで付属DVDの内容が異なります。

*2:『マスターゴッド』が好きです。KEYTALK / マスターゴッド - aircheck

*3:ちなみに上に貼り付けたトレイラー映像ですが、作曲者ごとに曲名の書かれたジェンガの色が分かれています。

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Suchmos / Wiper

この動画の後半で流れている曲が『Wiper』です。

 

既にライブでも披露されていました。

sbclbs.hatenablog.com

ライブで聴いたときは、音源よりももっと激しい、エモさを全開にした曲だったように思ったのですが、それは単なる私の記憶違いなのか、それともライブの臨場感がそう思わせるのでしょうか・・・。

 

自身設立の新レーベル「F.C.L.S.」からの第一弾リリースです。

個人的に『Wiper』はシングル曲として表に立つ曲ではなく、カップリング的な雰囲気の曲だと思っていたので、この曲がこうした扱いでのリリースになったということが意外に思えました。普通だったら、もっとわかりやすい、どキャッチーな曲を持って来そうですが・・・「自分たちはメジャーと手を結んでも大きく方向性が変わることはない」という意思表示のための、敢えてのチョイスでしょうか。

 

ただ、音楽の方向性はそのままでも、狙う客層はもっと広げていきたいのだろうな、というのを先ほどの動画を見て感じました。

一貫して"かっこよさ"を追求するスタンスは変わらなくとも、彼らと同年代~年上の大人たちに受けるヌケ感のある"かっこよさ"ではなく、「中高生が憧れるお兄さん」的な"かっこよさ"も示していきたいのではないか?と思ったのです。

これは雑な表現になってしまうので気分を害される方がいたら申し訳ないですが、私はこの動画から「中二病的な世界観」を感じてしまったんです。

ライブハウスという外部から閉ざされた秘密の空間、その秘密を共有する仲間、黒い服に身を包んだ謎の男たち、仲間同士にしかわからない暗号(ステンシル)、、、思春期の心をくすぐるモチーフが溢れているな、と思ってしまいました。

 

実際にSuchmosYouTube動画のコメント欄には、最近は中高生と思しきコメントが多く見られるようになり、着実にファン層が拡大していることをうかがわせます。今後、それがさらに拡大していくのか、そして、彼らが"かっこよさ"をどう提示していくのか、注目していきたいところです。

 

WIPER

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吉澤嘉代子 / 屋根裏獣

屋根裏獣 【通常盤】

吉澤嘉代子さんのアルバム『屋根裏獣』を聴きました。

吉澤さんの作品にはアルバム一枚ごとに完成された世界観があり、まるで短編小説集を読んでいるかのような感覚をおぼえます。今回のアルバムもそうした感覚はそのままなのですが、これまでとは少々趣が違うように感じられました。

これまでの作品には、これはきっと吉澤さんご自身の経験や気持ちを歌っているのだろう、と思わせるようなところがありました。主観で女の子の内面の心情を描いている曲が多かったからだと思います。実際は異なるのかもしれませんが、女性シンガーソングライターが「わたし」の気持ちを歌っている姿には、ついどうしても、作者と作品中の主人公を重ね合わせて聴いてしまいます。

youtu.be

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それが今回の『屋根裏獣』は違うのです。作者と主人公の一致性は存在感を潜め、客観的な視線で描かれた物語が目立っているのです。短編小説集のような世界観はそのままに、しかし吉澤さんは主人公ではなく、ストーリーテラーとしての役割に徹しているように思えます。

これまでになかった語り口には、吉澤さんがシンガーソングライターとしてのひとつの脱皮を試みていることを感じさせます。『屋根裏獣』を聴いて、今後ますます彼女から目が離せない、と思うのでした。