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KEYTALK / Love me

 

義勝さんの作る曲は大きく分けるとライブでの盛り上がりを意識したロックチューンかメロディアスなさわやかポップスの2種類なんですが、次はリリースの時季的にも後者だろうな、と思っていたら予想通り。

バンド的にも「お祭りソングだけじゃなくて、こういうのもやれるんですよ」というのを出しておきたい時期なのかな、という印象を受けました。

 

私がこの曲を初めて聴いたのは学園祭ライブだったのですが、彼らの既存曲に例えるならば、メロディを聴かせる感じとわかりやすい言葉遣いでの甘酸っぱい歌詞は「FLAVOR FLAVOR」や「boys & girls」、おしゃれ風なアレンジと3分以内という短い尺でスパッと聴かせる構成は「fiction escape」っぽいな、と思いました。

歌モノではありますが、最近のKEYTALK楽曲(首藤義勝曲)に必ずと言っていいほど見られる掛け声やハンドクラップといったライブ映えする観客参加ポイントもしっかり入ってます。メジャーデビュー以降の路線とインディーズ時代にやっていたことがうまく融合して、一つの結論が出たように感じました。

 

CDショップの宣伝文句風に言うと、"4つ打ちロックmeetsシティポップ"という感じになるのかな、と。

最近の邦楽シーンのトレンドとしてブラックミュージックの要素を取り入れた音楽が流行っているというのは、きっと多くの人が感じていることだと思います。ともすればこの曲も一見、その流行に乗って作られたように受け取られる可能性がありますが、それが決して付け焼刃でこしらえたものではないとういうことは、彼らの初期の楽曲を聴けばわかります*1

KEYTALKって、一般的には"踊れるロック"のイメージが強いんでしょうけど、そもそもバンド名は上原ひろみさんの曲名から取っているし、オリジナルメンバーの2人はジャズがルーツのひとつにあるようだし*2、そのせいもあってかインディーズ時代の楽曲はわりと渋谷系っぽさがあるなーと私は思っています。

 

邦楽シーンにシティポップの波が来たことと合わせて、4つ打ちブームは既に行くところまで行ってしまったように感じるので、もうそろそろ落ち着くんじゃないかと思っています。実際に4つ打ちブーム世代のバンドたち(例えばKANA-BOONだったりキュウソネコカミだったり)の最近の動向を見ていると、そろそろ"フェスで盛り上がるバンド"というイメージから脱却して、それぞれ次のステージへと移行する準備を進めているように見えます。

そのためには他のバンドとの差別化を図ることと、ロックキッズ以外のファン層を獲得する必要が出てくるんですが、KEYTALKの場合は、この曲に見られるようなポップセンスが今後の大きな武器になっていくんじゃないか 、と思いました。

 

作詞作曲したご本人も気に入ってる曲だそうなので、とにかく多くの人に聴いてほしいです。

 

Love me

Love me

 

 

 

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サカナクション / 多分、風。

 

当初は8月のリリース予定だったものの、制作進行上の都合により発売延期となってしまったという曲*1

山口一郎さんが歌詞が書けないとぼやくのは毎度毎度のこと、とは思っていたのですが、まさか発売延期にまでなってしまうとは・・・。そういった事情を知らされてしまうと、聴く側としては「ほほう、これが発売延期にするほど拘りに拘り抜いた楽曲ですか・・・どれどれ・・・」とついハードルを上げてしまうのが正直なところ。

そういうわけで「多分、風。」というタイトルが発表された時点で「曲名、なんかダサくない・・・?」というネガティブな感想から始まってしまい、ティザー映像で曲の一部を聴いたときも、別にいつも通りのサカナクションだな、という印象で、特に目新しさは感じませんでした。

 

それがフルで聴いたら、「良いじゃん!この曲!」となりました。

電子ドラムの音色をはじめ全体的に80年代を思わせる曲調、これは前作の「新宝島」でもやっていた試みなので、最初は「ああ、またこのパターンね」と思ってしまったのですが、今回は 「新宝島」よりもその路線を研究して突き詰めてきたな、と感じました。そう思うと、第一印象ではダサいと思ってしまった「多分、風。」という曲名も、なるほど狙ったダサみだったのだな、と納得がいきます。大変失礼しました・・・。

 

あと、良い意味で、重くない。さらっと聴ける。

サカナクションの曲はいつもどこか内省的で、主人公の内側に秘めた感情を描いたものが多いなと思っていました。

ですが、「多分、風。」からはそうした要素をあまり感じなかったです。従来の曲と比べると主人公の主張が弱めで、存在感が薄いような気がするのです。バンドマンのアーティスト性を好む人からするとその点が物足りなく感じられるのかも知れないですが、その分、大衆に向けて広く開かれたポップソングを目指したのかな、と思いました。

 

そして、主人公の代わりにメインとなって描かれているのは、"あの娘"。

男性目線で女の子、それも名前も内面も知らない女の子にハッと視線を奪われる瞬間を描いています。この点は、資生堂のタイアップだということを意識して作ったのだろうな、という気がします。

自分はリアルタイム世代ではないので、これは的外れな意見かも知れませんが、「80年代」「資生堂」「男性が女性に視線を奪われるというシチュエーション」、そして季節は「夏」というキーワードで、RATS&STARの「め組のひと」を思い出したりもしました。

曲調もイメージする情景も異なるし、何よりも描かれている女性の美のベクトルが全然違う(「め組のひと」は大人の女性の色っぽさを連想させるけど、「多分、風。」の場合は清楚な少女というイメージ)のですが、「多分、風。」にもどことなくそうした"往年の化粧品のCMソング感"を感じたのです。その"それっぽい感"が、現代のロックバンドであるサカナクションの手にかかるとこういう形になるのだな、と面白く思いました。新しいのに懐かしいような、初めて聴くのに既に知っているような、そんな不思議な感覚をおぼえました。

従来のサカナクションの楽曲は内省的な要素があった分、作者である一郎さんのアーティスト性を強く感じさせる出来になっていて、曲単体では良曲でもタイアップ曲としてはどうなのだろうか?と思うことが個人的には多かったです。ですが、この曲は曲単体で聴いても、資生堂のタイアップ曲だということをふまえて聴いても楽しめる仕上がりになっていると思いました。

  

以上のことから、拘って拘り抜いて制作したのだなということが察せられるし、結果として発売延期になってしまったのも仕方ないよね、、、

と、言いたいところなんですが、やっぱり、当初の予定通りのリリースで聴きたかったというのが本音です。曲調的にも、歌詞の世界的にも、これは夏の曲だ、と思うのです。実際に、日焼け止めのタイアップであるということを念頭に置いて作られていたのではないかと思いますし・・・。

良い曲だと思うだけに、ぜひともこういう事情は今回限りであってほしいなぁ、と思ってしまいました。

  

多分、風。 (通常盤[CD])

多分、風。 (通常盤[CD])

 

 

 

AKB48 / ハイテンション

 

良い曲なんだけど、なんだかAKBっぽくないような、ぱるるらしくないような・・・というのが第一印象でした。

が、聴いていくうちに感想が変わりました。

 

秋元康イズムが色濃く出た曲だな、と。

たぶん、他の子がセンターで歌ってたら、ただ可愛くて楽しいパ-ティーチューンだね。で終わっていたと思う。もちろんそれだけでも充分なんだけれど、この曲をぱるるにあてがうところが秋元康だな・・・と。

総選挙で仲間内で順位を争う子たちに「僕たちは戦わない」とか、お揃いの軍隊風の衣装に身を包んだ少女たちに「大人たちに支配されるな」とか歌わせるお方じゃないですか。この曲もきっと、そうした秋元康アイロニーに則った曲です。

この曲をあえてハイテンションとは程遠いキャラクターであるぱるるに歌わせることで、「大人の用意した歌を歌わされる女の子」というアイドルならではの構図が浮き彫りになり、アイドルの持つ"お人形"としての面、空虚さを強く感じさせられる出来になっていると思うのです。

バブル期を彷彿とさせるディスコ調の曲調に加えて、歌詞も「ミサイルが飛んで世界が終わっても」とか、いちいち刹那的ですよね。MVも曲のイメージに合っていて華やかで楽しいですが、最後のシーンが印象的で、「楽しい時間はいつか終わりが来る」ということを示す内容になっています。そんな曲を今のぱるるに歌わせることで、いずれは"卒業"しなければならない女性アイドルという職業の儚い宿命を皮肉っているのではないか・・・とも思えてきます。

 

・・・なーんて、考えすぎでしょうか。