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aircheck

好きな曲 / 気になった曲 / 観たライブ などについて書いています

続・ファンタスティックパレードとMISSION SURVIVOR

 

sbclbs.hatenablog.com

以前の記事でKEYTALK首藤義勝さんが提供した夢みるアドレセンスの「ファンタスティックパレード」(と、私立恵比寿中学の「MISSION SURVIVOR」)について書いたのですが、最近のKEYTALKのインタビューの中でも義勝さんのアイドル提供楽曲の話題が少し出ていました。

それを読んで改めて義勝さんが提供したこの2曲について思ったことがあるので、書き足しておこうと思います。なお今回の記事は前回のもの以上にKEYTALKファン目線での感想になっていますのでご了承ください。

 

 

www.hmv.co.jp

 こちらのインタビューの中では、義勝さんはアイドル提供楽曲はアニソンのイメージで作ったのだという発言があります。

特に「MISSION SURVIVOR」はアニソンっぽいなと思っていたので、やはり、という感じです。 

MISSION SURVIVOR

MISSION SURVIVOR

 私がアニソンっぽさを感じた要因は歌割りにあります。エビ中はCDの歌詞カードにメンバーの歌割りを記載しているあたり、歌割り(=メンバー各々の声質の違いの面白さ)を重視しているグループなのだろうなと思うのですが、「MISSION SURVIVOR」では"ぁぃぁぃ"こと廣田あいかさんが「咲かせてアイアイ愛の花」と歌っていたり、"エビ中のハイテンションガール"こと真山りかさんが「踊ればハイハイ ハイテンション!」と歌っていたりと、メンバー自身のキャラクターを意識したであろう歌割りが組み込まれています。このように声からメンバー各々のキャラクターを連想させるところが、声優さんが歌うアニソン(キャラソン)っぽいな、と思いました。

 

また、夢アドの「ファンタスティックパレード」では「もっとググッと引き寄せたらJoker」という歌詞を京佳ちゃんが歌うのですが(1:44あたり)、ライブでは「ジョーカー」のところに韻を踏んで「キョーカ」とファンが被せるのがお決まりになりつつあるみたいです。これはファンが現場で独自に作り上げたものなのか、それとも最初からこうなることを狙ってこの歌割りにしたのかは不明ですが、彼女のやんちゃで小悪魔っぽいキャラクターと合っていてすごくいいな、と思います。

実際に楽曲提供者が歌割りについてどの程度まで関与しているのかはわかりません(もしかしたら全く関与していないかも・・・)し、単にアイドル側から注文があったので組み込んだだけに過ぎないかも知れません。しかし、KEYTALKはツインボーカルのバンドなので普段から歌割りを意識した曲作りをしているようですし、アイドルグループへの提供楽曲においても歌割りのことを念頭に入れて作った可能性はあるのではないかと思います。

  

次に、こちらはKEYTALKのリーダーである小野武正さんのインタビュー。武正さんから見た義勝さんの曲作りについて触れられています。

www.hmv.co.jp

義勝は、とにかく常にバンドのことを俯瞰(ふかん)で捉えていて、そのときそのときのバンドに必要なものを、例えば曲だったりを、ちゃんと出してくる人だなと。 <<中略>> 自分がやりたいことを押し通すというよりは、“周りが求めてることを俺なりにやってみたけど、どう?”ってことをパッと出せる。そういうところが、メジャーというシーンでいろいろ経て、顕著に表れてきているなと。例えばアイドルに楽曲提供するときとかも、本当なら自分の好きな音楽を好きなようにぶつけることもできるけれど、彼は“KEYTALKの首藤義勝が提供するならこういう音楽であるべき”ということを踏まえて、かつ、“このアイドルだったらどういう曲がライブで映えるか”というところまで見越して曲を作れる。ある意味策士というか。

 義勝さんはどちらかと言うと感覚よりも計算で曲作りをするタイプのバンドマンなのではないか、と以前から思っていたのですが、このインタビューを読んでますますそうなのだろうな、と思いました。アニメタイアップ曲の「桜花爛漫」*1や、最近では「めざましどようび」のタイアップ曲となった「boys & girls」も"週末の朝"というテーマで無難にまとめた印象がありますし、自分のアーティストとしての表現欲をストレートに出すのではなく、依頼者側の意向を汲み取って作ることのできる器用さがあるように感じます。これは彼がもともとは裏方志望だった*2ということも影響しているのかも知れません。

それを踏まえると、「ファンタスティックパレード」も「MISSION SURVIVOR」も"MONSTER DANCEっぽい"という意見をインターネット上で結構見た(そして私もそう感じた)のですが、それは決して引き出しの少なさが露呈したわけではなくて、あえて狙ってやった結果なのではないかと思います。

そもそもミュージシャン、それも現役で活躍しているような人がアイドルに楽曲提供する場合というのは、依頼者側もその人らしい楽曲やその人のネームバリューを期待して依頼している部分があると思うのです。「MONSTER DANCE」は今やKEYTALKの代名詞的な扱いの曲ですし、KEYTALKの首藤義勝に依頼するという時点でアイドル側には"MONSTER DANCEっぽい曲が欲しい"という狙いがあったのではないかと思います。

で、夢アドの方は私も実際に現場を確認してきたのですが*3、「ファンタスティックパレード」はセットリストの終盤で「みんな、まだまだ踊れるよね~?」といった煽りの後に繰り出されていました。これ、KEYTALKのライブで「MONSTER DANCE」が出てくるときの流れと全く一緒なんです。

「MONSTER DANCE」もセットリスト終盤に配置されることが多く、それによりライブの最後の盛り上がりに一気に火をつけるような、必殺技的ポジションを担っている曲です。この現場に行った時点では「ファンタスティックパレード」はそれよりも前にリリースされた「舞いジェネ!」に比べるとまだ完全には浸透していない雰囲気でしたが、この曲がKEYTALKのライブにおける「MONSTER DANCE」のような定番曲になる日も近いのではないかと思いました。

エビ中の「MISSION SURVIVOR」も、現場を観た人の感想を読むとタオル曲でかなり盛り上がるらしいので、私もいつか観てみたいなーと思っています。

 

最後に、こちらはKEYTALKではなく夢アドのディレクターである田口タカアキさんのインタビューなのですが、面白いと思ったので紹介します。

kulture.kola.jp

ただすごく思うのは、アイドルが表現する音楽は、いわゆる完パケ音源が最終形じゃないということ。お客さんの前でパフォーマンスをして、そこにどういうコールやミックスが乗っかるか。そこまでを含めて完成だと思っていて、どういう風にしたら彼らが体を動かしやすいか、声を出しやすいか、こういうコールやミックスが乗っかってくるんじゃないかということを考えて作っているっていう部分は大きな違いだと思います。よりユーザーのことを考える必要があるというか、サービス精神を発揮しないといけない。特にライブパフォーマンスという体験型のコミュニケーションの場所で、その曲がどう表現されるかイメージして作らなきゃいけないというのがあると思いますね。

アイドル楽曲はライブで観客が参加することまでを考えた作りにしている、ということなのですが、KEYTALKの楽曲もその点を意識して作られたものが多いです。特に義勝さんの作る曲は年々その傾向が強くなっているように思います。「MONSTER DANCE」がその最たる例ですが、その他にもハンドクラップや掛け声を入れるポイントが用意されている曲が結構あります。それも踊れ踊れなアッパーチューンではない、いわゆる歌モノにもそうしたポイントが盛り込まれているという点が特徴的です。

こうしたポイントをはじめ、KEYTALKのライブはお客さんとのコミュニケーションを意識したライブになっていて、"この曲のこの部分でこういうパフォーマンスが入る"という定番ネタが多く存在します。もちろんそれを知らなくても楽しめますが、ライブを観れば観るほどその"見どころ"がわかってくるのが面白いです。

ちなみに私が個人的に好きなのは「コースター」の「ちょっと触ってみたいだけ」という部分です。最近のライブではこのフレーズ(1:54あたり)を観客に歌わせるのが定番化しているのですが、歌わせた後に義勝さんが「よくできました」と言うように両手を頭上に掲げて〇印を作るんです。会場にいる義勝推し(バンドに"推し"という表現を使うなんて!と怒られそうですが、敢えてこう書かせてください)たちが一斉に心の中でキャー///となる瞬間です。

 

 

長くなってしまいましたが、先日の記事でも書いた通り、いちKEYTALKファンとしては、この2曲が彼らのコンポーザーとしての面に純粋に目を向けられる機会になってほしい、という気持ちが強くあります。

KEYTALKに関しては「ファンは顔ファンばかり」とか「アイドルバンド」(悲しいことに、この場合の"アイドル"という言葉には侮蔑的な意味が込められている)といった評価を結構目にします。

確かに、ライブに来ているのは10~20代の若い女性ファンが多いのが事実ですし(女性ファン=顔ファン=楽曲軽視と一概に決めつけるのはどうかと思いますが)、最近の彼らの売り出し方を見ていると、そう捉えられても仕方ないのかな、という部分はあります。アイドル的な楽しみ方ができるというのもひとつの強みだと思うので、そういった要素を全否定する必要はないとは思っていますが、やはり自分たちで曲を作って演奏するバンドである以上、音楽的な部分がもっと注目されてほしいし、評価されてほしいです。

そして、今回の楽曲提供を通して、これまでKEYTALKを聴いたことがないというアイドルファンの方々にも、彼らの楽曲に興味を持っていただけたらうれしいなーと思っています。