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吉澤嘉代子 / 屋根裏獣

屋根裏獣 【通常盤】

吉澤嘉代子さんのアルバム『屋根裏獣』を聴きました。

吉澤さんの作品にはアルバム一枚ごとに完成された世界観があり、まるで短編小説集を読んでいるかのような感覚をおぼえます。今回のアルバムもそうした感覚はそのままなのですが、これまでとは少々趣が違うように感じられました。

これまでの作品には、これはきっと吉澤さんご自身の経験や気持ちを歌っているのだろう、と思わせるようなところがありました。主観で女の子の内面の心情を描いている曲が多かったからだと思います。実際は異なるのかもしれませんが、女性シンガーソングライターが「わたし」の気持ちを歌っている姿には、ついどうしても、作者と作品中の主人公を重ね合わせて聴いてしまいます。

youtu.be

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それが今回の『屋根裏獣』は違うのです。作者と主人公の一致性は存在感を潜め、客観的な視線で描かれた物語が目立っているのです。短編小説集のような世界観はそのままに、しかし吉澤さんは主人公ではなく、ストーリーテラーとしての役割に徹しているように思えます。

これまでになかった語り口には、吉澤さんがシンガーソングライターとしてのひとつの脱皮を試みていることを感じさせます。『屋根裏獣』を聴いて、今後ますます彼女から目が離せない、と思うのでした。